2025年05月09日
京都市伏見区「医療法人社団沖医院」
の
最新腸活診療で、腸内環境を整え
全身の健康増進へ

京都市伏見区にある当院では、腸内細菌叢の状態を調べる「エンテロタイプ診断」のキットを提供しています。腸内細菌の多くは培養が困難で、その働きや細菌同士の関わりはまだ解明されていませんが、腸内環境を整えることでさまざまな健康効果が期待できます。当院では科学的視点と伝統的な食の知恵を組み合わせ、特定の疾患を持つ方から漠然とした健康増進を望む方まで、幅広いニーズに対応。京都市伏見区および周辺地域の皆様の健康をサポートしています。
院長よりメッセージ


院長沖 映希
Teruki oki
当院では腸内細菌と全身の健康との関係に着目した「腸活」診療をおこなっています。肝臓から排泄される胆汁酸や食物由来の食物繊維を材料にして腸内細菌が産生する代謝産物は、大腸だけでなく全身に作用し、様々な疾患や健康状態と深く関わっています。腸活の目的に応じた二つのアプローチ(疾患治療型と健康増進型)をご提案し、患者さまお一人ひとりに合った実践的なアドバイスをご提供しています。
featuresfeatures医療ライターから見た
医療法人社団 沖医院の
腸活診療の特徴

目的に応じた二つの
アプローチで腸活を
サポート
沖医院の腸活診療では、まず患者さまの目的を明確にすることから始まります。科学的根拠に基づいた標準治療をメインとしながら、腸活を「ちょい足し」として併用したり、伝統的な食生活の実践をすすめたりするなど、患者さまの目的と状況に合わせた実践的なアドバイスがおこなわれています。

科学的な視点で伝統的
食生活の価値を再評価
沖医院では最新の腸内細菌研究を踏まえながらも、日本の伝統的な食生活の価値を科学的に再評価していることが特徴です。流行りの「腸活」に踊らされるのではなく、古くからの食の知恵を現代医学の観点から裏付け、実践しやすい形で提供している点です。

エンテロタイプ診断を
活用した個別化された
腸活支援
沖医院では、患者さまお一人ひとりの腸内細菌の状態を「エンテロタイプ診断」という最新の方法で評価し、それに基づいた個別化された腸活支援をスタートさせました。腸内細菌学の分野はまだ発展途上でわからないことも多い中、より効果的な健康管理につなげるという先進的なアプローチも積極的に取り入れています。
interviewinterview院長 「沖 映希(おき てるき)先生」に
独自取材

「腸活」とは具体的にどのようなものですか?
腸活とは、腸内細菌を活用して特定の疾患の治療や健康増進に役立てようという取り組みです。
近年の研究で、腸内細菌が肝臓から排泄される胆汁酸や食物由来の食物繊維を材料にして産生する代謝産物が、大腸だけでなく全身に作用し、私たちの健康や疾患と深く関わっていることがわかってきました。
腸内には約1000種類、100兆個もの細菌が存在し、これらが互いに影響し合いながら一種の「工場」のように機能しています。この腸内細菌の働きを良い方向に導くことで、さまざまな健康効果が期待できると考えられています。
ただし、現時点での腸活は科学的に完全に確立されたものではなく、「腸内細菌をなんとなく良さげな方向に持っていく」というレベルです。特定の腸内細菌だけを増やしたり、特定の腸内細菌だけをやっつけたりするのではなく、大腸全体をひとつの工場に見立てて、良いチーム作りをしていくという考え方が重要です。

腸内細菌はどのように私たちの健康に影響しているのですか?
腸内細菌は私たちの健康にいろいろな影響を与えています。
- 消化と栄養吸収に関わっています。私たち人間が消化できない食物繊維などを腸内細菌が分解し、短鎖脂肪酸などの有用な物質に変えます。これらが腸の健康を保ち、さらに全身に影響します。
- 腸内細菌は免疫システムの発達と機能に重要な役割を果たしています。腸管は体内最大の免疫器官であり、腸内細菌との相互作用が免疫バランスの維持に不可欠です。
- 腸と脳の間には「腸脳相関」と呼ばれる密接な関係があり、腸内細菌が脳の機能や精神状態にも影響する可能性が研究されています。
興味深いことに、腸内細菌は草食動物が筋肉を作る過程にも重要な役割を果たしています。例えば体の大きなゴリラやパンダのような草食動物が筋肉質なのは、腸内細菌が植物性食品からアミノ酸を作り出すのを助けているからです。人間の体内でも、人間の消化酵素が消化しきれなかったものを腸内細菌が代謝し、有用な物質に変えてくれています。
ヨーグルトなどの乳酸菌製品は腸内環境を整えるのに効果的ですか?
ヨーグルトなどの乳酸菌製品は一定の効果がありますが、その作用機序は多くの人が思っているものとは少し異なります。
「腸まで届く乳酸菌」という表現をよく耳にしますが、これらの乳酸菌は腸に「生着」してくれるとは限りません。私たちの腸内はすでに多くの細菌で満たされており、新しく入ってきた乳酸菌が、座席を確保することは難しいのです。
わかりやすく例えると…
満員電車に乗り込んだときのようなものです。座席はすでにいっぱいで、乗客は降りる駅に着いたら出ていきます。乳酸菌も同様に、腸内を通過する間に一時的な作用はあっても、最終的には体外に排出されます。
乳酸菌が作り出す乳酸も、便の中にはほとんど検出されません。
なぜなら、一つの乳酸菌が作った乳酸は別の腸内細菌の餌となり、さらに別の物質に変わっていくからです。こうした代謝産物の連鎖が腸内で起こり、一種の巨大な「工場」のように働いています。
ということは、ヨーグルトは食べても意味がないのですか?
ヨーグルトなどの摂取は意味がないというわけではなく、通過する短い時間でも何らかの良い影響を与える可能性はありますが、「摂取すればたちどころに良くなる」というものではないようです。気長にやってみて効果があるのであれば続けたらよいと思います。
「便移植」という治療法について聞いたことがありますが、どのようなものですか?
便移植(糞便微生物叢移植)は、健康な人の便を患者さまの腸内に移植することで、腸内細菌叢を改善する治療法です。これは特定の疾患、特にクロストリジウム・ディフィシル感染症(抗生物質関連腸炎の一種)の治療に効果が認められています。また、炎症性腸疾患や抗がん剤治療による腸内環境の悪化などに対しても研究が進んでいます。便移植が(ヨーグルトを食べたり整腸剤を内服したりするような)通常のプロバイオティクス摂取と大きく異なる点は、腸内細菌「工場」そのものを丸ごと移転させようとする点です。しかし、既存の腸内細菌がいる状態では、新しい細菌が定着するのは困難です。そのため便移植をおこなう際には、あらかじめ抗生物質などで既存の腸内細菌を大幅に減らし、「座席」を空けておくことが必要になります。これにより、移植された腸内細菌叢が生着する確率が高くなると考えられています。便移植は特定の疾患に対する治療法として有効性が示されていますが、一般的な健康増進のためにおこなわれるものではなく、医師の監督下で厳密におこなわれる医療行為です。強力な抗生物質を用いることによる副作用や感染リスクもあるため、自己判断でおこなうべきではありません。
腸活を始めるとき、まず大切なことを教えてください
腸活を始める際には、まず明確な目的が何かを明らかにすることが大切です。大きく分けると二つの方向性があります。
特定の疾患の治療を目的とする場合です。例えば肥満、糖尿病、便秘、炎症性腸疾患などの特定の疾患に対して腸活を取り入れるケースです。
漠然とした健康増進を目的とする場合です。特に病気ではないけれど、より健康になりたいという願望からの腸活です。
当院では腸活の相談に来られた方には、まずこの目的をお伺いしています。なぜなら、目的によってアプローチが大きく異なるからです。

特定の疾患がある場合、腸活はどのように取り入れればよいですか?
特定の疾患の治療を目的とする場合、まずは科学的根拠のある、(診療ガイドラインに書かれているような)一般的な治療をお勧めしています。当院ではこれを行った上で腸活を既存の治療法を補完する「ちょい足し」として取り入れています。上乗せ効果についての科学的根拠はまだまだこれからです。以下にいくつかの例をご紹介します。
- 肥満や糖尿病を合併した便秘症の方には、食物繊維の積極的な摂取をお勧めしています。食物繊維は便秘改善だけでなく、腸内細菌によって代謝されることで、肥満や糖尿病の改善にも役立つ可能性があります。
- 便秘治療薬の選択においても腸活の視点を取り入れることができます。例えば、大腸内の胆汁酸量を増加させる薬剤があります。胆汁酸は腸内細菌を介して肥満や糖尿病の改善に役立つ面もあるため、そのような薬剤を選択することも腸内細菌の上手な活用法と言えます。
- 高血圧の方には、腸内細菌によって食物繊維から作られる短鎖脂肪酸が血圧低下に寄与する可能性があることから、食物繊維の摂取を勧めています。
重要なのは、腸活だけに頼らず、主治医から処方された薬や指示された生活習慣の改善をしっかりおこなった上で、補助的に腸活を取り入れることです。また、持病がある場合は、腸活を始める前に必ず主治医に相談することをお勧めします。
健康増進のための腸活では、どのような食品を摂るべきですか?
健康増進のための腸活では、古くから言われてきた食事の知恵が実は科学的にも理にかなっていることがわかってきました。おばあちゃんや母親から言われてきたことを実践することが基本となります。
具体的には以下のような食生活をお勧めします。
- 発酵性食物繊維を多く含む食品を積極的に摂る
- 豆類(大豆、小豆など)
- 根菜類(ごぼう、れんこんなど)
- 海藻類(わかめ、昆布、ひじきなど)
- 雑穀(玄米、全粒粉など)
- 果物(特にキウイ、プルーン、みかんなどのペクチンを含むもの)
- 発酵食品を取り入れる
- 味噌、醤油、漬物などの伝統的な発酵食品
- ヨーグルト、チーズなどの乳製品の発酵食品
- さまざまな種類の食品をバランスよく食べる(好き嫌いをしない)
- 多様な食品を摂ることで腸内細菌の多様性が増します
- 油っこいものや甘いものは摂り過ぎない
- 過剰な脂肪や糖分は腸内細菌叢を乱す可能性があるため注意しましょう
特に発酵性食物繊維は腸内細菌のエサとなり、有益な代謝産物を作り出す源となります。雑穀類は美味しくないと感じる方もいますが、海藻類や果物などから始めると取り入れやすいでしょう。
日本の伝統的な食事が実は理想的な腸活だったということですね。
腸活というと難しそうですが、身近な食品で手軽に始められる方法はありますか?
腸活は特別な健康食品やサプリメントがなくても、私たちの身近にある食品で十分に始めることができます。
特に果物は手軽に摂れる発酵性食物繊維の宝庫です。先生がおすすめするのは、キウイ、みかん、プルーンといった果物です。これらには水溶性食物繊維の一種であるペクチンが豊富に含まれています。
例えば、朝食にキウイ1個を食べる習慣をつけるだけでも、腸内環境に良い影響があります。みかんは季節の果物として手に入りやすく、おやつ代わりに食べるのも良いでしょう。
プルーンは便秘解消効果も期待できる優れた果物ですが、手に入りにくいかもしれませんね。
また、普段の食卓に取り入れやすい食品としては、わかめや昆布、ひじきなどの海藻類があります。みそ汁に少し多めにわかめを入れたり、ひじきの煮物を副菜に加えたりするだけで、食物繊維の摂取量が増えます。
子供の頃、おばあちゃんやお母さんから「野菜をしっかり食べなさい」「お味噌汁を残さないで」「好き嫌いしてはいけない」「油っこいものや甘いものは食べ過ぎないように」などとよく言われませんでしたか?
実はこれらの言葉、現代の腸活の知恵とぴったり一致するのです。
- 「野菜をしっかり食べる」というのは食物繊維を摂取すること
- 「お味噌汁を残さない」というのは発酵食品と海藻や根菜の摂取
- 「好き嫌いしない」ことは多様な食品から多様な栄養素と食物繊維を摂ること
- 「油っこいもの・甘いものは控えめに」というのも、現在の研究で腸内環境を乱す要因として挙げられています。
腸活の基本は特別なものではなく、日本の伝統的な食事の知恵の中にすでに存在していたのです。
おばあちゃんの知恵に立ち返って、毎日の食事から少しずつ始めていきましょう。
腸活を始めてから効果が現れるまでにはどのくらい時間がかかりますか?
腸活を始めてから効果が現れるまでの期間は個人差がありますが、一般的には数週間から数ヶ月かかることが多いです。
腸内細菌叢の変化は、食事内容を変えると比較的早く起こり始めます。研究によれば、食事内容を大きく変えると数日で腸内細菌の構成に変化が見られ始めることがわかっています。しかし、安定した新しい腸内環境が整うには、継続的な取り組みが必要です。
便通の改善など、自覚できる変化は早い方で1〜2週間ほどで感じられることもありますが、多くの場合は1〜3ヶ月程度の継続が必要です。肥満や糖尿病などの慢性疾患に関連する効果はさらに時間がかかることが多く、3〜6ヶ月以上の継続が望ましいでしょう。
短期間の一時的な取り組みではなく、長期的な食習慣の変更として腸活を位置づけることが大切です。
一時的に腸内環境が改善しても、元の食習慣に戻ればすぐに元の状態に戻ってしまいます。理想的には、腸活を生活習慣の一部として継続的に取り入れることで、持続的な健康効果が期待できます。
自分の腸内細菌の状態を調べる方法はありますか?
腸内細菌の状態を調べる方法としては、近年「エンテロタイプ診断」という検査が利用できるようになっています。
エンテロタイプとは、腸内細菌叢の構成パターンの分類のことで、食生活の傾向や将来的な疾患リスクとの関連が指摘されています。
血液型占いならぬ「腸内細菌型診断」とも言えるもので、自分の腸内環境がどのタイプに属しているかを知ることができます。
エンテロタイプ診断はどのような方法で検査ができるのですか?
このエンテロタイプ診断検査では、自宅で便を採取し、検査会社に郵送します。そこで腸内細菌の遺伝子解析などをおこない、どのようなタイプの腸内環境なのかを診断します。その結果に基づいて、どのような疾患にかかりやすい傾向があるか、どのような食生活の改善が望ましいかなどのアドバイスを受けることができます。
当院ではエンテロタイプを診断するためのキットを販売しており、検査結果に基づいて検査会社の専属管理栄養士からエンテロタイプを改善する方法についての相談も受けられるサービスをご提供しています。自分の腸内環境を知ることで、より効果的な腸活をおこなうことができます。興味のある方はぜひ当院までお問い合わせください。
腸活と体重管理には関連性がありますか?

体重管理のための腸活のポイントとしては、
- 食物繊維の豊富な食品を摂ること
- 加工食品や精製糖、過剰な脂肪の摂取を控えること
- 規則正しい食生活を送ること
特に発酵性食物繊維は、短鎖脂肪酸の産生を促し、これが満腹感の増加や脂肪燃焼の促進、炎症の抑制などに寄与する可能性があります。
ただし、腸活だけで急激な体重減少を期待するのではなく、バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせた総合的なアプローチが重要です。

Doctordoctorこの記事の監修医師

沖 映希 院長
医療法人社団 沖医院
京都府立医科大学を平成6年に卒業し、医学博士号を取得。昭和43年に先代院長である父より医院を引き継ぎ、現在も同地で診療をおこなっている。「楽に 正確に 迅速に」をモットーに、患者さまの負担を軽減しながらも正確な診断を心がけて治療にあたっている。専門は消化器領域(食道・胃・大腸・肝臓・膵臓)を幅広くカバーし、特に内視鏡検査・治療に精通。大腸カメラ検査では安全性を最重視し、胃カメラではピロリ菌除菌後の経過観察の重要性を啓発。また腸内細菌と全身の健康との関係にも造詣が深く、腸活指導もおこなう。患者さまとの対話を大切にし、症状や検査結果を総合的に判断する診療姿勢が特徴。「命に関わる病気の早期発見」を第一に考え、一人ひとりに最適な医療を提供し続けている。