2025年10月20日
大阪市鶴見区の「磯川医院」の
小児科専門医による適切なアドバイス

磯川医院は大阪市鶴見区横堤に位置し、専門的な小児アレルギー診療を提供しています。近年、小中学生の4人に1人が何らかのアレルギー疾患を抱える「国民病」の状況下で、当院では「早期発見・早期治療」の方針でアレルギーマーチの予防に取り組んでいます。
院長からのメッセージ


院長磯川 貞之
Sadayuki Isokawa
乳児湿疹の早期治療によるアレルギー発症予防や、エビデンスに基づいた食物アレルギー対応など、長期的な健康を視野に入れた診療を行っています。お子さんとご家族に正確な知識をお伝えし、一人ひとりに合わせた治療計画をご提案いたします。
アレルギーとの適切な付き合い方をご家族とともに考え、お子さんが制限を感じることなく成長できる環境づくりをサポートし、お一人ひとりの個性と発達に寄り添った診療を大切にしています。
featuresfeatures医療ライターから見た
磯川医院の小児アレルギーの特徴

最新の医学知見に基づく小児アレルギーの早期介入アプローチ
磯川医院では、「アレルギーマーチ」の概念に基づき、乳児期の湿疹を単なる皮膚トラブルとしてではなく、将来的なアレルギー疾患の入り口として捉え、早期からの積極的な治療を行っています。この方針により、多くのお子さんのアレルギー症状の重症化を防ぎ、長期的な健康向上に貢献しています。

エビデンスに基づいた食物アレルギー予防・治療の実践
食物アレルギーに関する医学的知見は過去10~15年で劇的に変化しました。磯川医院ではこの変化を迅速に診療に取り入れ、従来の「アレルゲンを避ける」という指導から、最新の研究結果に基づいた「早期から少量ずつ摂取する」という新しいアプローチを採用しています。特に離乳食開始時期や進め方において、日本の一般的な指導とは異なる国際的な視点からの助言を提供し、アレルギー発症リスクの低減に努めています。

親子の心理的負担に配慮した総合的なアレルギーケア
磯川医院の小児アレルギー診療の大きな特徴は、 医学的治療だけでなく、アレルギーを持つお子さんとご家族の心理的・社会的負担にも深い配慮がなされている点です。親御さんの不安や疑問に丁寧に耳を傾け、「なぜこの治療が必要か」 を分かりやすく説明することで、治療への理解と協力を促進しています。
interviewinterview院長「磯川 貞之(いそかわ さだゆき)」先生に独自取材

小児アレルギーは予防できますか?妊娠中からできることはありますか?
アレルギー予防は妊娠前・妊娠中から始めることが大切です。具体的には以下の3つのポイントに注意しましょう。
- 母親の体調管理
- 腸内細菌バランスの整備
- 皮膚ケア

妊娠中のお母さん自身のアレルギー疾患(特にアトピー性皮膚炎など)をしっかり治療することが大切です。妊娠中でも使用できる薬はたくさんありますので、自己判断で治療を中断せず、専門医に相談しましょう。
母親の腸内細菌バランスが赤ちゃんに影響します。バランスの良い食生活や適度な運動を心がけましょう。
特にアトピー傾向のあるお母さんは、肌の状態を良好に保つことが重要です。赤ちゃんが最初に接触するのはお母さんの肌ですので、しっかりとケアすることで赤ちゃんへの影響を最小限に抑えられます。
生まれてすぐの赤ちゃんのアレルギー予防で気をつけるべきことはありますか?
生まれてすぐのアレルギー予防として最も重要なのは、出生後72時間以内の授乳方法です。この時期は母乳のみ、もしくはアレルギー用ミルクのみにすることが理想的です。通常のミルクを与えると、牛乳アレルギーだけでなく他のアレルギー全般のリスクが高まるという研究結果が出ています。
母乳栄養にこだわりすぎることも問題です。
母乳が一番いいと思ってきたのですが、そうとも言い切れないのですね
母乳は素晴らしい栄養源ですが、母乳単独栄養へのこだわりが離乳食開始の遅れにつながると、かえってアレルギーリスクを高めてしまいます。母乳が十分出ている方も、スプーン一杯程度の量から普通の牛乳(調製ミルク)を与えることで、アレルギー予防になることもあります。
乳児湿疹と小児アレルギーの関係について教えてください


乳児湿疹とアレルギーの関係については、医学的見解が近年大きく変わりました。以前は「アレルギーがあるから湿疹が出る」と考えられていましたが、現在は「乳児期早期の湿疹が続くことで免疫バランスが崩れ、IgE抗体ができてアレルギーが発症する」という考え方が主流です。つまり、湿疹を早期に適切に治療することがアレルギー予防の第一歩となります。
うちの子供も生まれてすぐに湿疹ができた記憶があるのですが
生後1ヶ月頃に顔に軽い湿疹が出ることは珍しくありませんが、フェイスラインを超えて耳の後ろや首などに広がる場合は要注意です。乳児湿疹が気になったら、お早めに小児アレルギーの専門医に相談することをおすすめします。
食物アレルギーの予防や対策について最新の考え方を教えてください
食物アレルギーに関する考え方は、この10~15年で大きく変わりました。以前は「アレルギーを起こす可能性のある食品は避ける」という考え方でしたが、現在は「早めに少量から食べ始める」という考え方が主流となっています。
昔はアレルギーのものは避けていましたよね
そう言われ時期も確かにありますね。特に卵や小麦、ピーナッツなどのアレルゲンとなりやすい食品も、離乳食の初期から少量ずつ食べ始めることで、むしろアレルギーを予防できることが近年分かってきました。今は、ピーナッツバターやナッツ類も、離乳食の早い段階から少量ずつ取り入れることが推奨されています。
アレルギーの検査と診断について、親が知っておくべきことは?
アレルギーの診断において、血液検査で測定するIgE抗体の値だけで判断することはできません。IgE抗体が高いからといって必ずしもアレルギー症状が出るわけではなく、また重症度の判定にも役立ちません。
アレルギー診断は、症状と医師の経験に基づいた総合的な判断が必要です。
例えば、咳が長く続く、鼻水が止まらないなどの症状があっても、それが風邪なのかアレルギーなのかを見極めるには専門的な知識と経験が必要です。「アレルギーかな?」と思ったときには、最新の知識を持つ専門医に相談することが大切です。
「アレルギーかな?」と思ったときには、最新の知識を持つ専門医に相談することが大切です。
最近、アレルギー疾患が低年齢化していると聞きますが、その理由は?
アレルギーマーチ(アトピー性皮膚炎→食物アレルギー→気管支喘息→アレルギー性鼻炎・花粉症という進行)の低年齢化は確かに進んでいます。以前は、花粉症は中学生ぐらいにならないと発症しないと言われていましたが、現在は小学生でも普通に見られるようになりました。
アレルギー疾患の低年齢化の原因としては、環境の変化や生活習慣の変化、
清潔すぎる環境などが考えられています。
現代社会では、小中学生の4人に1人が何らかのアレルギー疾患を持つと言われており、「国民病」とも呼ばれる状況です。
アレルギーがある子どもの食事制限について、どう考えればよいですか?
アレルギーがある子どもの食事制限は、過剰におこなわないことが重要です。必要最小限の除去をおこない、医師の指導のもと、早期に解除していくことを目指しましょう。
食事は栄養摂取だけでなく、子どもの発達や家族とのコミュニケーションの場でもあります。子どもだけ別メニューにすることで、子どもは「自分だけ違う」と感じ、食に対する不安や制限を覚えることがあります。
できるだけ家族と同じ食事を、アレルギー対応の形で提供することが理想的です。
最終的には、学校入学までにできるだけ多くの食品が食べられるようになることを目標にしましょう。

赤ちゃんの発達と食事の関係について教えてください
赤ちゃんの発達と食事は密接に関連しています。食べることは栄養摂取だけでなく、触る、感じる、学ぶという重要な経験です。
赤ちゃんは本来、周囲の人が食べている様子を観察し、興味を持ち、自分も食べたいという欲求を自然に持ちます。
これは「Baby-led Weaning(赤ちゃん主導の離乳)」と呼ばれる考え方です。日本では月齢に応じた離乳食の進め方が一般的ですが、国際的には珍しいアプローチです。赤ちゃんが食べることに興味を示したら、その意欲を尊重し、適切なサイズや硬さに調整した家族の食事を分け与えることが理想的です。
喘息の治療について教えてください。長期的な影響はありますか?
喘息の治療は近年大きく進歩しており、適切な治療によりコントロールが可能になっています。ロイコトリエン拮抗薬や吸入ステロイド薬などの予防薬が主流で、これらは症状を抑えるだけでなく、気道の炎症そのものを抑える効果があります。
長期的な視点では、小児期の喘息を適切に治療しないと、
成人後の健康に影響を及ぼす可能性があります。
小児喘息があった人は、成人後に慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクが高まることが分かっています。
アレルギー性鼻炎と気管支喘息の関係について教えてください。


アレルギー性鼻炎と気管支喘息は「one airway, one disease(ひとつの気道、ひとつの疾患)」という概念で捉えられることがあります。
これらは表裏一体の関係にあり、喘息を持っている人の約75%はアレルギー性鼻炎も持ち、逆に鼻炎だけと思っている人の約1/3にも喘息の症状があります。
この関連性は非常に重要で、アレルギー性鼻炎をしっかりコントロールすることで、喘息の症状も改善することがあります。逆に、鼻炎の治療を怠ると、喘息の悪化につながる可能性もあります。アレルギー性鼻炎の症状がある場合は、喘息の有無も含めて専門医に相談することをお勧めします。
子どもの栄養バランスとアレルギーの関係について教えてください。
子どもの栄養バランスはアレルギー予防と管理において重要な要素です。日本の子どもは、海外の同年代と比較して、離乳食開始以降の体格差が目立ち始めるという研究結果もあります。これは食品のレパートリーの少なさが影響している可能性があります。
特に気になるのはカルシウムや脂溶性ビタミンの不足で、8割以上の子どもが、ビタミンDが不足しているというデータもあります。多様な食品をバランスよく摂ることが、アレルギー予防だけでなく、健全な発育のためにも重要です。食べ物への興味や探索行動を尊重し、家族と同じ食卓を囲む経験を大切にしましょう。
日本の離乳食の進め方について、国際的な違いはありますか?
日本の離乳食の進め方は国際的に見ると独特です。日本では「お米から始めて、次に野菜、その後に他の食品」という段階的な進め方が一般的ですが、これは約40年前に作られた指針がベースとなっています。
たしかに、おもゆから始めた記憶があります
世界的には、もっと早い段階からさまざまな食品を取り入れる方法が主流です。例えば欧米では、穀物にこだわらず、さまざまな食品を早期から取り入れることが一般的です。日本人の食生活はお米中心の特徴がありますが、それ以外の食品も早期から取り入れることで、多様な栄養摂取とアレルギー予防の両方に役立ちます。
赤ちゃんの食への関心と発達に合わせた柔軟な対応が大切です。
抗生剤の使用とアレルギーの関係について教えてください。
抗生剤の使用とアレルギーの関係については重要な研究結果が出ています。3歳未満の子どもに抗生剤を反復して投与すると、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患のリスクが高まるという報告があります。
抗生剤は細菌感染に対して効果がありますが、腸内細菌バランスを崩し、アレルギー体質を助長する可能性があります。風邪の多くはウイルス感染が原因であり、抗生剤が効果を示さないケースが多いです。必要以上の抗生剤使用は避け、医師と相談しながら適切に使用することが大切です。特にアレルギー傾向のあるお子さんでは、抗生剤の使用についてより慎重な判断が必要です。

アレルギーは治りますか?将来的な見通しを教えてください。

アレルギー疾患が完全に治るかどうかについては、難しい質問です。一度形成されたアレルギー体質を完全に治すことは、現在の医学では困難な面があります。
では重症化しないための方法などはあるのですか?
そうですね。小さいうちに適切な治療を行い、しっかりとコントロールすることで、症状を軽減したり、寛解状態に持っていったりすることは可能です。特にアトピー性皮膚炎は、子どものうちにしっかり治療すれば軽快することも多いですが、放置すると治りにくくなり、大人になっても続くことがあります。
